先日、請負業務で福島原発20キロ圏の、南相馬市小高駅へ行ってきました。東京からの往復の時間を考えると割の良い仕事ではありませんが、福島原発周辺からの依頼は、即答で受け入れるようにしています。
- 羽生結弦選手と東日本大震災
- 福島県南相馬市の小高(おだか)駅
- 小高産業技術高校
- 小高(おだか)駅をめざす中学生・高校生
- 柳美里さんが計画中のブックカフェ
- 余談でも、言っておきたい(ONEれ〇ほくのこと)
- 柳美里さんのブックカフェへのクラウドファンディング
羽生結弦選手と東日本大震災
仙台市は海に面した市ですが、仙台駅は、実はかなり内陸部に立地します。これは、ブラタモリ仙台編によると、伊達政宗が、洪水の多い海沿いを避け、台地に仙台城の城下町を設計したことに、原点があります。
高校1年生だった羽生結弦選手が被災したのは、仙台駅からさらに北に位置するアイスリンク仙台です。津波の被害は免れましたが揺れは激しく、あの羽生選手が「氷が波打ち、死の恐怖を感じた」と振り返っています。
羽生結弦選手は、内陸部で被災したことを留保しつつ、「(自分たち)以上に、苦しんだ人たちがたくさんいて、特に津波、原発の被害にあった地に行って思った」とオリンピック連覇後に、改めて発言しています。確認するまでもないことですが、東日本大震災の被害はまだ至るところに残っています。
1995年の阪神大震災からの復興でさえ、兵庫県は、次年度ようやく震災による赤字から回復する見込みが立ったばかりです。東日本大震災や原発事故の傷跡は、まだまだ残っています。
福島県南相馬市の小高(おだか)駅
出典:朝日新聞
請負業務で、福島県南相馬市の小高駅に行ってきました。福島原発20キロ圏にあり、2016年7月までJR常磐線も不通になっていた地域です。
駅名 | いわき駅 | 竜田駅 | 富岡駅 | 夜ノ森~双葉駅 | 浪江駅 | 小高駅 | 原ノ町駅 |
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JR線の復興 | 特急ひたち終点 | 2014年6月運転再開 | 2017年10月運転再開 | 2019年末までに運転再開予定 | 2017年4月運転再開 | 2016年7月運転再開 | 福島北東部の主要駅 |
近隣の町の様子 | 2015年避難指示解除 | 2017年避難指示解除 | 帰還困難地域 | 2017年避難指示解除 | 2016年避難指示解除 |
小高駅近くには、目新しい郵便ポストも準備され、復興が進んでいます。しかし、背景を見ると、震災の揺れで倒壊したのか、更地の部分もまだ目立ちます。
立派な山門は震災に耐えたようですが、寺院は現在閉山し、別の場所で執務を行っているとのことです。
お寺の中は、まだ荒れ果てた状態です。
南相馬市に押し寄せる津波の動画です。
小高産業技術高校
出典:福島民報2017年4月12日
小高産業技術高校に掲示されていた新聞です。今回は小高産業技術高校の生徒に、小論文の書き方を指導してきました。素直で勉強熱心な、非常によい生徒です。
震災や原発事故の影響で仮設校舎で授業を行っていた2つの高校が統合し、小高産業技術高校として開校。校歌は、長渕剛さんが作曲、作家の柳美里さんが作詞したそうです。おふたりによる、被災した高校生を応援するエールです。
出典:おそらく福島民報
驚いたのが、校歌の作詞を担当した柳美里さんが、鎌倉に構えた新居を捨て、南相馬市の原町区を経て、福島原発から20キロ圏内の小高駅周辺に引っ越されていたことです。
柳美里さんは、福島県の只見町の出身。電源のためのダム開発で湖底に沈んだ集落がある町です。そのこともあり、震災直後に何度も南相馬市を訪ねるうちに、地元の方の思いと共鳴するところがあり、少し北の原町区に移住しています。
その頃、小高の高校に出向き、自己表現をテーマに連続講義をした縁で、小高駅で電車を待つ高校生のためにブックカフェを作りたいと思い立ったとのことです。 筆者も、将来は塾に通えない高校生のための無料の自習スペースを作る目標があるため、他人事とは思えませんでした。
小高(おだか)駅をめざす中学生・高校生
小高駅前です。学生服姿の集団が、駅を目指して歩いてきます。
しかし、ご覧のように待合室は中学生・高校生で一杯。運転本数が少ないため、下校時刻に電車が来ず、1時間半ほど待つこととなります。
待合室に入りきれない生徒はホームで待ちますが、海岸方向には何もないため、非常に冷たい風が吹きつけます。
柳美里さんが計画中のブックカフェ
そんな高校生を見かねた作家の柳美里さんは、小高駅近くの自宅を改装し、ブックカフェの開業をめざしています。約1万2千人の人口が、2千人に激減した南相馬市小高区でのブックカフェ開業のため、銀行には経営が成り立たないと融資を断られています。
柳美里さんのクラウドファンディングは終了まであと7日。500万円の目標に対し、568万6900円が集まり成功のように見えますが、本来必要な金額は800万円です。クラウドファンディング側のルールで、目標を超えない場合は手数料が高くなってしまうため、念のために500万円に設定されています。
自己資金の状況や使途について、詳細は上にまとめられています。
柳美里さんの小高駅の自宅は、被災した方が泣く泣く手放した物件を、乞われて引き受けたものです。そのため、住むうえで500万円以上を出費し修繕しています。現状、決して自己資金に余裕があるわけではなく、800万円のクラウドファンディングはぜひ成功させたいとのことです。
こちらに柳美里さんのブックカフェができます。完成すれば、寒空の下電車を待つ高校生が本を読んだり、お茶を飲んだりできるようになります。夜間の時間帯に、小高駅で家族の迎えを待つ生徒も利用できるでしょう。
本屋「フルハウス」の内装が、完成しました! pic.twitter.com/xfcJ06fvaj
— 柳美里 (@yu_miri_0622) 2018年2月22日
余談でも、言っておきたい(ONEれ〇ほくのこと)
ONEれ〇ほくの寄付金集めについて。
— (とらべる)じゃーな! (@jarna_jp) 2018年2月19日
・使途は、全国から泊まりに来た若者の宿泊費用。それはいいんだけど、半分旅行の人もいそうだし、困っている人が来たとして、彼らに対し何ができる?
・寄付募る記事で、ポテトチップスを大量に食べている……。がっかりです。https://t.co/HHC5GERVNV
芥川賞の実績のある柳美里さんなら、集まってきた高校生に何ができるのか、はっきりしています。
追記:財政の窮状を訴え、寄付を募る記事に、ポテチを大量に積み上げた写真。強い違和感を覚えました。
柳美里さんのブックカフェへのクラウドファンディング
福島県南相馬市小高区に本屋(ブックカフェ)を――。 芥川賞作家・柳美里さんと旧「警戒区域」を「世界一美しい場所」へ。 - クラウドファンディングのMotionGallery
3000円から寄付できますが、10000円のものにしました。ブックカフェに5回行けますが、遠方のため、4回分は地元の高校生におごるつもりです。
登録はとりあえず、メアドと氏名(ニックネーム)だけです。
支払いも簡単。過去に通販等で使ったカードがあれば、自動入力されます。
しぶとく、弊ブログを宣伝。アイコンは、小高駅に飾られた雪だるまです。アイコンとニックネームは、あとから変更することもできます。
以上、あと7日 福島原発で被災。寒空の下電車を待つ高校生のためのブックカフェを、のエントリーでした。
※恐れ入りますが、今回の記事は、少しでも多くの方に届けたいので、記事最後のB!マークにてブックマークをして頂けると有難いです。同時に、シェアもお願いいたします。
以下は関連記事。小高訪問直後に書いた記事です。
1回目と2回目の浜通り訪問記です。
小高駅より南の、浪江駅のレポートです。