(^^)/ 2016年夏、中高生限定のコミュニケーションアプリであるゴルスタ(ゴールスタート)の、運営姿勢が大炎上しました。この記事では炎上の経過をわかりやすくまとめ、運営会社の姿勢を問います。
ゴルスタとは、中高生限定のコミュニケーション&学習アプリ
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ゴルスタは、中高生限定のコミュニケーションと学習のアプリです。そもそもゴルスタとは何かを、簡単に説明します。
- 森塾は、新潟県長岡市発祥の個別指導塾チェーン。後発ですが、ライバル個別塾が無視し続けてきた「指導マニュアル」を完成させ、仕組み自体は高評価。
- ゴルスタは、ゴールスタートの略で、スマホ向けの学習アプリ。森塾の関連会社であるスプリックスが運営していました。
- ゴルスタは、本来は学習アプリ。講義配信は、他塾のような「おっさん講師」でなく、親密感を感じるイケメン大学生等が主体でした。
- ゴルスタには、関連機能としてLINEのような「トーク機能」、ニコニコ生放送のような自作動画の生配信機能も備えられました。
- ゴルスタの運営は、ごく少数のスタッフが、会社組織や森塾の指導、監督を十分に受けずに行っていた可能性が大(根拠は、筆者の電話取材)。
- 運営者は、LINEで問題視されるいじめや暴言などが発生していないか、終日監視。そのなかで、恐喝的なモノ言いをし、懲罰的に個人情報を流出しました。
- 夏休み頃、ネットでさまざまな点が問題視され始め、8月31日に謝罪し、その後ゴルスタは、閉鎖されました。
ゴルスタが炎上した理由
ゴルスタは、2016年の夏ごろ、その運営をめぐりネットで批判され、炎上が起こりました。ゴルスタが炎上した行為は、まとめると次のようになります。
① 批判的な会員の氏名を、運営側が懲罰として、故意にツイッターに表示した(根拠)。
② 規約違反等があった会員(中高生)への非常識な対応があった。具体的には、高圧的な言葉づかい、反省文の強要、警察への通報をほのめかす等。
ゴルスタの対応/ゴルスタ炎上騒動まとめ
ネットでの炎上に対して、ゴルスタは2016年8月31日に謝罪を行いました。
謝罪したのは、違法行為となる、個人情報の流出のみ。個人情報の流出は、運営者がツイッターに、規約違反者の都道府県名と氏名を書き込んだものです。反省文関連や、警察への通報をほのめかす等は、違法とまでは言えないことから、予想通りの対応でした。
次に、お詫びではなくあくまで「ご報告」として、高圧的な対応の見直しを約束しました。
運営会社は森塾/ゴルスタ炎上騒動まとめ
ゴルスタの運営会社は、株式会社スプリックス(SPRIX)とされていますが、実質的な母体は個別学習塾の森塾です。
森塾は、新潟県長岡市で1997年に誕生した、比較的新しい個別塾です。今世紀に入りベネッセと提携し、首都圏に進出。現在は、株式会社スプリックス(SPRIX)として、森塾、ゴルスタなど複数の事業を手がけています。
株式会社スプリックス(SPRIX)と聞いて、教育関係者なら、まず、社名から良い印象は、受けないでしょう。漢字表記に対して、カタカナや英語表記の社名は、伝統がないことが多いからです。
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河合塾(創立1937年)
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日本美容専門学校(1954年)
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東進ハイスクール(1985年)
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東京モード学園(1980年)
さらにスプリックス(SPRIX)が、首都圏名門中学受験塾であるSAPIXのイメージを、盗んでいる点もイメージは良くないです。例えば、実質的な教育水準に対し評価が高いと思われる明光義塾(個別類型塾)が一例です。meikougijyukuは、よく音を分析していくと、慶應義塾(keiougijyuku)のイメージを盗もうとしています。
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meikーougijyuku
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keiーougijyuku
株式会社スプリックス(SPRIX)は、SAPIXと紛らわしくした、カタカナの新参者の教育産業。私なら、まずこのような第1印象を持ちます。
ゴルスタは教育アプリだった(笑)/ゴルスタ炎上騒動まとめ
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ゴルスタは、実は教育アプリとしてリリースされています。
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コンテンツは、どう見てもコミュニケーションアプリですが、スナップスタディなる教育コンテンツが、控えめに片隅に存在します(笑) キャッチフレーズは、先生がイケメン(笑)
教育関係者なら、この時点でそっとアプリを閉じるでしょう。株式会社スプリックス(SPRIX)、即市ねよ。これが、教育関係者の持つ第1印象です。
ネット上のゴルスタに関する「意見」は、大半がコピー/炎上騒動まとめ
ネット上の意見は、ゴルスタ批判一色でした。個人ブログやSNSはもちろん、「公式アカウントとは思えない、過激な発言の数々」(ねとらぼ)のように、大手ニュースメディアも同様のトーンです。唯一、読売新聞社が「物議を醸している」の表現に抑え、客観性を維持していた程度です。
現在、ネットが普及し、個人が自由に意見を言えるようになりました。結果、ブラック企業の告発が進むなど、よい点もありました。しかし、不用意にネット上の意見を鵜呑(うの)みにする傾向も、同時に高まっているようにも感じます。ほとんどの意見が、個人的な精査(詳しい調査や熟考)を経ないコピーになっているのです。
ゴルスタを運営する森塾は悪質なのか?
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ゴルスタを運営する森塾は悪質な企業なのでしょうか?
森塾の首都圏進出は、2004年です。少子化が深部まで進行し、教育業界はにっちもさっちも行かなくなっていた時期です。個別指導塾は、21世紀に入って伸びてきたジャンルです。大手の明光義塾やスクールIE(やる気スイッチ)などが、すでにフランチャイズ化を進めていました。その市場に割って入り、在籍者を増やしたのが、森塾でした。少子化、既存大手勢力という2つの逆風のなか、在籍者数を伸ばしたのには理由があるはずです。
その理由は、私の分析では、ズバリ「フォレスタ」です。
フォレスタは、個別塾専用の指導マニュアル付きテキストです。既存の個別塾は、市販の参考書や学生アルバイトの個々の技量に頼る部分があり、担当する講師による運不運が大きな問題でした。森塾は、膨大なマニュアル付きテキストを短期間で作成し、全国の教室に導入しました。授業の質で在籍者数を増やした、と見て間違いありません。
ではなぜ、ゴルスタのような頭が悪そうなアプリができたのか
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ゴルスタの教育コンテンツを見ると、頭の悪そうなコンセプトに閉口する方も多いと思います。年齢の高い保護者なら、眉をひそめるでしょうし、ふざけるなとスマホを破壊するかもしれません(笑)
しかし、このアホくさい画面にこそ、森塾=ゴルスタの「妙技」が現れているとも言えます。
個別塾は、いわゆる補習塾です。学校の授業についていけない、受験塾の集団授業についていけないという層がターゲットになります。多くの生徒が、勉強面では良い思いをしたことがありません。勉強に拒否反応を示し、真正面から教科に関心をもつことは、まずありません。SNSやスマホゲームに多くの時間を消費するのも特徴です。
正攻法の教科に、正面から関心を持ってくれない生徒を、机に向かわせるにはどうしたらよいのでしょうか? やる気を導く大きな要因の一つが、担当講師のキャラクターです。
- 勉強ができない生徒を馬鹿にしない講師。
- わかりやすい言葉を選んで使える講師。
- 芸能人やゲームの話なども分かってくれる講師(僕らが興味を持っているモノを、一概に否定しない講師)
- 勉強一辺倒の価値観ではない講師(友達と雑談しているひまがあるなら、1秒でも勉強しろ?友達だって大切なのに……)。
- 普通にさわやかな講師(イケメン、美女ならベター)
森塾では、採用時に高学歴の大学生を必ずしも選んでいないと言われています。
高学歴の講師は、上の5項目の逆を考えて頂く、案外当てはまることがあります(勉強ができない生徒を無意識のうちに馬鹿にしてしまう、言葉が高度で難しい……)。
つまり、補習塾であり生徒の層に特徴がある個別塾には、高学歴の講師は合わないことが多いです。しかし、学歴より人間性を重んじると、授業レベルが下がってしまう。だが、森塾には、個別塾専用の指導マニュアル付きテキスト「フォレスタ」がある。従来の個別塾にはなかったスタイルの完成です。
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講師はコミュニケーション力重視。
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授業はマニュアルで品質を保つ。
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結果として生徒は親しみやすさ、分かりやすさの2点を得られる。
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↑ 森塾のそのコンセプトが、ゴルスタ上でこう表現されちゃったわけです。
このデザインは、物議をかもし、保護者受けは悪いと思います。しかし、(学業が本職でなく)モデルをしている講師でも、マニュアルに則(のっと)れば一定の授業技量を示すはずです。上の画面は、森塾の真骨頂というわけです。
※なお個別塾の生徒の保護者層は、上のような広告に案外拒否反応を示さず、「ふーん、楽しそうじゃない。ちょっと、やって見れば?」と言うことも、案外多いです。そこもポイント。
ゴルスタがやろうとしていたことを好意的に見れば/炎上騒動まとめ
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ゴルスタは、単なる金儲けかもしれません。しかし、SNS的なコミュニケーション機能に興味を持った生徒が、いじっているうちに、学習機能であるスナップスタディに遷移してしまう可能性は、大いにあります。
勉強が苦手な子を「釣る」方法としては、理にかなっています。勉強メインのアプリなんて、登録すらしません。
↑ 実はポケモンGOも、勉強へ「釣る」アプリとしては有効。
LINEより信頼度が高い面もあるゴルスタ/ゴルスタ炎上騒動まとめ
出典 ゴルスタ(アプリ画面)
2016年には、LINEのグループトークが発端で、一橋大生が自殺した事件がありました。過去にも、下のような事件があります。
2015年2月 川崎市の中1男子生徒(13)が、LINEで不良仲間に呼び出されて犠牲に。
2013年10月 広島県でLINEのメッセージを無視したとされるトラブルから、通信制高校生(19)が川に突き落とされる。
2013年7月 奈良県の中1の女子生徒(13)がLINEに悪口を書き込まれた後自殺(因果関係は立証に至らず)。
2013年6月 広島県で前夜のLINE上の喧嘩が発端となり、高等専修学校の女子生徒(16)が、男女7人に暴行され犠牲に。
2013年1月 小6女子がLINEで知り合った22歳の男性に関係を強要される(既遂)。
これらの事件は、LINEがなければ、ほかのSNSが代替しただけだ、という指摘も理解できます。しかし、ツイッターはマンツーマンのコミュニケーションであり、大荒れしにくい要素があります。メールも同様です。(中高生は使いませんが)フェイスブックも、やり取りを衆人が監視する仕組みがあります。
集団心理による暴走が起きやすい、グループトークの機能を持ち、かつ監視体制がない唯一のSNSがLINEです。これは、例えば、金持ちが地下室を近所の中高生に24時間開放し、監視しないのと似た状況です。
ゴルスタは、この状況を何とかしようとしていた節があります。
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変態、わいせつな内容の投稿禁止
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出会い目的の利用禁止
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相手を傷つける言葉の利用を禁止
この規定を遵守させるために、24時間の監視をしていたとされます。
規定を遵守させるための罰則が、公教育がよく行う、退学措置や違反者の掲示と瓜二つである点が、ちょっと面白いところです。ゴルスタの行った行為は、確かに違法(個人情報の流出)、行き過ぎではありますが、従来公教育の現場で行われてきたことと、近い側面があるのです。
(まとめ )ゴルスタ炎上騒動とは? 運営会社、森塾について
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いかがでしたでしょうか? 先入観を捨てて、冷静に森塾とゴルスタを分析していくと、極悪非道とまでは言えないことが、明らかです。
① 批判的な会員の氏名を、運営側が懲罰として、故意にツイッターに表示した(根拠)。
② 規約違反等があった会員(中高生)への非常識な対応があった。具体的には、高圧的な言葉づかい、反省文の強要、警察への通報をほのめかす等。
授業が成り立たないほど荒廃した中学校が、現在も多くあります。②にある、反省文を課すことは、十分ありえるでしょう。一方、警察への通報予告は行き過ぎで、①は違法性があり即アウトです。
しかし、ゴルスタの全体構成を見ると、
① 中高生に勉強の契機を与える。
② コミュニケーションの機能では、いじめや出会いとしての利用を防ぐ
というような意図が感じられます。冷静に腑分(ふわ)けすると、高圧的な姿勢を取り、個人情報の扱いを誤った運営担当者の、個人的な資質の問題が中心点として認められます。
もちろん、会社としての指導監督責任は重大で、ことに個人情報の流出は論外で許し難い暴挙です。
しかし、社をあげて「運営者個人は嫌いになっても、ゴルスタは嫌いにならないでください」と、猛反省し改善する姿勢が見られるなら、このアプリに対し、世の中はもう1度だけチャンスを与えても良いのではないかと思います。
(^^)/ じゃーな
追記 お便りコーナー
お便りを紹介するコーナーです。
① まずは、はてな村のid:jtwさんより「あーなるほど。だからスプリックスのサイトは死んだ振り続けていても問題ないのか」とのブコメを頂きました。
スプリックス社のサイトが、アクセス者全員に「アクセス過多」と返している件です。
これは、ネットの知識がない人が見ても、明らかに死んだふりであり、大人、ましてや企業の対応とは思えません。全体に子供じみている点は、問題視して良いと思います。
② つぎに、同じくはてな村のid:bk2321866さんより「どうぞ、使用前後の成績の統計をだしてつかぁーさい」とのブコメを頂きました。
もう1枚、ツイッター村の@yahiro_toyさんからの、お便りです。
@jarna_jp 情報に偏りがある、とまでは言いませんがあまり有効なものではないでしょう。確かに全体的に見れば良いアプリだ、と錯覚しがちですが使う生徒のことを考慮していません。何故なら、環境の提供がされても彼らは勉強しないからです。彼らが成りたいのは「アイドル」です。再考慮を。
— 登生ヤヒロ (@yahiro_toy) 2016年8月31日
ゴルスタに会員登録した中高生が、実際に成績を伸ばしているのか、最低でも勉強時間が伸びているのか、という件です。これは運営会社から、データが出ていないため、正確に論じるのは難しいです。
この記事では、「いじっているうちに、スナップスタディに遷移してしまう可能性は、大いにあります」とだけ書きましたが、可能性という面では、アプリの構造からして物理的に否定はできないでしょう。
ツイッター村からのお手紙に「彼らが成りたいのは『アイドル』です」とあります。中学生は、アイドル的要素(応援する、自分がなる)に、極度に反応する年代です。そして、現代のアイドルはテレビの向こうでなく、全国の中学にいるのです。森塾が、その辺りまで、中学生の生活感をつかんだのは、ある意味よく分かっていると思います。多くの塾では、そういった彼らの志向を、深くは理解しようとしていません。それもなにか、教育機関として浅いと思うわけです。
追記は以上です。
再追記 お便りコーナー
@yahiro_toy ありがとうございます。ゴルスタの一件については、根強い需要があり、今月も記事が読まれています。また「京進事件」を書き続けるべきであるように、長く論じる価値がある事件です。監視体制については、目視、自動検知、通報です。放置のLINEとの比較が肝要と考えます。
— じゃーな! (@jarna_jp) 2016年12月29日