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ダメな部下のメタ認知を鍛えて、職場の人間関係を改善する方法は?

後輩から「部下のメタ認知力を高めるにはどうしたら良いでしょう? 自分は文章を書くことで、メタ認知が育った気がしますが、ほかに方法はありますか?」と質問されました。

キャリアコンサルタント(国家資格)の試験が近く、興味深い質問でした。許可をもらったので、ブログでのお答えです。(まだ勉強中のため、不十分な点をお許しください)

質問の全文

1点気になって眠れなくなったので、長年教育に携わってきたじゃーなさんに質問させてください…!

文章を書くことはメタ認知の向上に繋がると思いますか?

最近、会社でポジションが変わって後輩を育てる機会が増えました。
そんな中で後輩のメタ認知能力が課題に感じることが多いです。

自分はメタ認知が強みと言われることが多いですが、意識して身につけてきたわけではないので、メタ認知の身につけ方を自信もって指導できていません。

自分の短い社会人生活を振り返ってみて思ったのは、

  • Twitterで自分の感情を伝える
  • ブログで目的を持った長文を書く
  • マッチングアプリで返信率の高いメッセージを考える

の3つは影響力大きかったと思うのですが、再現性あるかどうか知りたく質問しました…!

メタ認知は、人間関係のトラブルの起こしにくさにつながる

 メタ認知は「自分の感情や考えグセを客観的につかんでおり、人間関係のトラブルを起こしにくい」のように、自分は捉えています。

例えば、誰かに対して怒りだしそうになったとき、(あ、この状況でなにか言われたら自分は怒り出すから、気分転換で席を外そう)みたいな思考がとれます。

否定的なフィードバックを信頼できる人から

メタ認知を高めるのに、いちばん手っ取り早い方法は、周囲の人から否定的なフィードバックをもらうことです。(例:君、意見否定されると、すぐ怒り出すからなー)

部下の指導ということなら、前置き的なフォロー(例:君の仕事は評判がいいけど)をしつつ、 否定的なフィードバックを伝えることですね。フィードバックが自己概念の形成に不可欠なことは、ドナルド・E・スーパーという人が述べています。

ただ、否定的なフィードバックは、かなり信頼している人からもらわないと、100%否認されてしまいます(フロイト)。そのため、非常に関係の良い部下にしか、否定的なフィードバックは使えません。会社内の場合、部下が「関係が良いふり」をしていることが多いのが難しいところです。シグナルは、部下の方から食事などに何度も誘われているかでしょうか。

おすすめの手順

場所は、夕食のついでなどでも良いと思います。

  • 部下の良い点を十分に伝える。
  • フィードバックしたいテーマ(例:派遣社員との接し方)について、すぐに核心には触れずに、部下の話を引き出す(自己探索を促す)。
  • 伝えたい点が、部下の口から出るまで、時間をかけて話を聞く。うまく出てこなかった場合は、あとからメールで示唆するのも良い(とくに、面と向かってだと、反射的に反論してしまいそうな人に対して)。

ダメな手順は、上司に時間がないので「単刀直入に言うけどさ」みたいな切り出し方です。

「言葉数(ことばかず)を減らす」

メタ認知力が高く、人間関係のトラブルが少ない人は、例外なく「言葉数(ことばかず)」が少ないです。これは、自分の経験や、予備校で人気のある生徒を分析した感じから明らか! あと、見た目の割に(失礼)異性にモテる人は、多くが当てはまります。

まず、言葉数が少なければ、失点しません。しゃべると失点する。しゃべらないから失点しない(当たり前体操)。これは重要。

ただ、言葉数が少ない人は、単に言葉数が少ないだけでなく、しゃべらない時間に頭はけっこう回転させています。

  • 感情の観察をしている … 相手や周りの人の、表情や声の様子を観察し、非言語情報を追いかけている。同時にくり返しの多さなど、言語情報も追っている。(クライエント観察技法と同じ)
  • 自分が発すべき言葉を検討している … ひと呼吸おいてから、相手に違和感を与えない言葉を選んでいる。

言葉数が少ない人は、リソースを発話以外に使っているのですね。ただ、何も考えずサボっている時間も結構あり、これは身構えのなさという雰囲気につながり、相手を安心させています。

おすすめの手順

言葉数が多すぎる部下の場合、簡易的なソーシャルスキル・トレーニング(SST)を行う。静かな場所がよいと思います。(本来は専門家に依頼するものです)

  • 【モデリング】部下の話を、意識的に、言葉数を少なく傾聴。以下に留意。①言葉数を減らす、②相手の感情や言葉を正確に追跡する、③なるべく相手の言葉を引き出す、④よく考えて肯定的な言葉を多くかける、⑤自身がリラックス。
  • 【リハーサル】部下に、モデルとして示した聞き方について、どのようなスキル(言葉数少なく傾聴し、余力で相手と自分を観察すること)を使用したのかを聞き出し、胸落ちするまで、自由に話してもらう。部下自身の話し方を振り返りつつ、実際にやってもらう。
  • 【フィードバック】レクチャーのまとめ。

(詳細:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査133~134ページ)

言葉が次々に出てきてしまい、相手や自分を観察できない人は、決めごとを作ると良いかも。例えば、右手(利き手)を開いているときは話すモード。閉じているときは、話さず、相手や自分を観察するモード。

言葉数が少ないというのは、本質的には、承認欲求が満たされいる(マズロー)、自己一致つまりアイデンティティが強く確立していることの表れですので、すぐには難しいかも知れません。

しかし、コミュニケーション力はスキルに過ぎないことも、明らかになっています。習えばできる、習わなければできない。学校では教えないからできない人がいる。

文章を書く、そして見せる

 質問のなかに「ブログで目的を持った長文を書く」ことが、メタ認知を育てるのでは?とありましたは、これは正解だと思います。質問にあった「マッチングアプリで返信率の高いメッセージを考える」は、非常に理にかなっています。相手の心が動けば返事が来る。動かなければ来ない。

同時に、メタ認知という観点からは、書いた文章を相手が一読で一瞬で理解できるかについてのフィードバックが不可欠です。文章が上手い人は、自分の知識や前提と、相手の知識や前提の「差分」を常に意識しています。

  • メタ認知が弱い人の文例:例外なく「言葉数」が少ないです。
  • 普通の文例:例外なく「言葉数(ことばかず)」が少ないです。

書いている人は、ことばかずと頭のなかで読んでいても、読み手は「ことばすう」と読むかもしれません。文章を書きながら、自分で自分の文章をセルフチェックし、仮想した相手が、文章についてこられて、共感できるかを判断してゆきます。

おすすめの手順

OJT(On-the-Job Training)

  • 上司は部下に、メール、社内外の文書、LINEなどの文章表現のフィードバックを行うことを宣言。(期間を決めると良い)
  • 毎日、終業時に、フィードバック。(とくに一読で理解できなかった点をフィードバック。そのほか、共感できた点、自分としては違和感があった点)
  • 期間終了後に、レポートを提出してもらう。

(注)違和感は、あくまでアイメッセージ(自分の主観、他人はそうは見ないかも)として伝える。

7つのコラム法で認知のクセを知る

認知とは、考えグセ(思考枠のパターン)のようなものです。認知の歪みとしては、レッテル貼り、恣意的推論(先回りの思考)などがあります。(保健管理センター精神科医 大西建

SNSの世界でも、よく見ると書いていないことが、あたかも書いてあるように受け取られ、炎上することがあります。これが、認知の歪みですね。

メタ認知とは、自分自身の認知の歪みに気づき、修正したりうまくつき合ったりすることだとも、言えます。認知療法を開発した、アーロン・ベックは、認知の歪み(考えグセ)に気づかせるために、7つのコラム法を提唱しています。

おすすめの手順

会議室等で1対1のカウンセリング形式が望ましい。

7つのコラム法(厚労省|認知行動療法

  • 状況 上司「最近部長とどう?」 部下:相変わらず偉そうで、ゴミっすね。
  • 気分 上司「どんな気分?」 部下:不満70%、あきらめ30%です。
  • 自動思考 上司「考えたことは?」 部下:部長、異動せんかなあ(50%)転職したい!(30%) 会社行きたくない!(20%) 
  • 根拠(事実) 上司「部長はどの辺がダメ?ファクトベースで 」部下:うーん、昔の実績で威張ってるけど、いまは手法自体、通用しないんですよね。
  • 反証(事実)  上司「その手法の良い点はあるの?」 部下:顧客第一で口コミ重視だから、間違ってはない。でもそれだけじゃ勝てない。上司「100%間違いではない?」 部下:間違いではないけど、古いんですよね。まあ歳だから。
  • 適応的思考 部下:時代錯誤で不十分な戦略だけど、言っていること自体は、そこまで間違ってない。
  • その後の気分 部下:多少は前向きにも考えてみよう(50%)、不満(30%)、学ぶところも少しはある?(20%)。    

 7つのコラム法では、部下が自身の認知のクセを客観的に認識できるようになり、メタ認知力の向上につながるかも知れません。

まとめ

  • 信頼関係があるなら、否定的なフィードバックを行う。ただし、部下自身に気づかせるように、時間をかけて対話する。
  • 「言葉数(ことばかず)が少ない」スタイルのメリットを理解させるための、簡易的な(本来は専門家に依頼)ソーシャルスキル・トレーニング(SST)。
  • OJTとして、文章をチェック。とくに一読で理解できなかった点をフィードバック。そのほか、共感できた点、違和感(アイメッセージとして)も伝える。
  • 7つのコラム法を使って、人間関係や仕事の不満点などを題材に、自身の考えグセをつかませ、メタ認知力を向上させる。

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