豪雪の上越国境 ・土合駅へ行ってきました。土合駅は、群馬県と新潟県の県境付近にあり、標高が高く積雪も多い難所です。
上越国境の攻略
皆さあーん。 新潟は半年も雪の孤島だ。この雪をなくすため上越国境、三国峠の山を削って平らにする。削った石や土を新潟の海に埋めて佐渡と陸続きにするんだ。三国峠が平らになると、水気を含んだ冬の雲は新潟に降らせない。関東平野まで行く。 海の手前で東京の野郎どもの上に雪が落ちる。
元首相の田中角栄は、若い頃、地元新潟で上のような演説を打ちました。
上越国境の高い山々のせいで、新潟県は雪に埋もれ、東京との行き来もままならない。上越国境の山々を切り崩せば、佐渡の孤立も含め、全てが解決する。あくまで比喩ですが、新潟県の抱える地理的な問題を、見事に言い当てた選挙演説です。
結果的に、現在の上越国境は、上越新幹線の大清水トンネルが貫き、交通の問題は解決されました。
大雪の日 上越国境へ
雪国には厳冬期に行くのが良い。そんな考えから、ひときわ寒い日に、上越国境へ向かいました。雪に強い東北新幹線も、大きな遅れが出ていました。
上野駅で、天皇陛下が旅行のさいにご愛用されている、チキン弁当の「からあげ部分」を購入。安くておいしいお弁当です。
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新幹線で越後湯沢に到着。上越線で高崎方面へ折り返し、上越国境に向かいます。それなりに雪をかぶっていますが、雪国としては、まだまだ平常のレベルです。
しかし、列車が高崎方面へ向かい、土樽駅に着くと、かなりの雪の量となり、運行に支障が出てきました。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
川端康成の『雪国』に出てくる信号所が、現在の土樽駅です。上越国境の新潟県側にある駅です。
土樽駅では、列車の前方が完全に雪で埋まってしまいました。土樽駅で、雪かきのため20分間の停車です。
雪はさらに強くなり、ドアーも凍ってしまいましたが、土樽駅から目的地の土合駅間の雪かきが終わり、ようやく出発となります。
土樽駅は、越後湯沢から、高崎方面に南下し、谷川岳の手前にある秘境駅です。
昭和初期までの上越国境越えは、徒歩によるものでした。三国街道は、谷川岳に阻まれ、右手の三国峠を目指します。街道から外れた土樽は、雪深く非常に寂れていました。
一方、昭和初期に開業した上越線は、真っすぐ、谷川岳に向かいます。土樽駅(開業当初は信号所)を出て、上越国境を目指します。しかし、当時の技術では長大なトンネル掘削は難しく、線形をループさせ高度を稼ぎつつ、地上から浅く長さが短い清水トンネルを経て、地上駅の土合駅に至ります。これが、上越線上り(高崎方面)の土合駅です。
土合駅(上り)
清水トンネルを抜け、上越線上りの土合駅に到着。土樽駅を超える豪雪です。
上越線上り土合駅のホームです。長靴なしでは、歩行は困難です。
土合駅の駅前の風景です。道路と目されるところに、クルマが1台だけ停まっていました。いわゆる秘境駅(1日平均20名前後の利用)ですので、観光客以外の利用は少ないです。
土合駅の駅舎は、三角形のデザインが印象的です。
つららが、軒を埋めています。
土合駅の待合室です。テレビのニュース番組の取材が入っていました。この待合室のすぐそばに、上り線の土合駅のホームがありますが、下り線のホームはありません。なぜなのでしょうか?
これは、技術が進み、地上から深く、長い新清水トンネルを掘削できるようになったことによります。結果的に、上越線下り線の土合駅は、新清水トンネルのなかに作られました。
開通 | トンネル名 | 使用線区 | 全長 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1931年 | 清水トンネル | 上越線上り | 9702m | 土合駅(トンネル南側・地上ホーム) |
1967年 | 新清水トンネル | 上越線下り | 13500m | 土合駅(トンネル内・地下ホーム) |
1982年 | 大清水トンネル | 上越新幹線 | 22221m |
結果的に、土合駅は上り線(2番線)が地上ホーム、下り線(1番線)が地下ホームと、生き別れになってしまいました。
土合駅の地下ホーム
土合駅の地下ホーム(下り線・越後湯沢方面)へ向かいます。まず、地上を水平に移動します。
しばらく水平移動です。2枚の板を組み合わせたものは、トンネルから上がる風圧を、分けて壁に当て、打ち消すためのものです。
地下ホームへのトンネルを下ります。先行するのは、テレビ撮影のクルーです。
下から見たところ。462段もありますので、上り線土合駅(地上)から、下り線土合駅(地下)に降りてくると楽です。
- 楽なルート:東京駅→(上越新幹線下り)→越後湯沢駅→(上越線上り)→地上の土合駅…(階段462段)…地下の土合駅→(上越線下り)→越後湯沢駅
地下の土合駅です。新しい技術を駆使し開通した、深い新清水トンネル内にあり、越後湯沢方面の列車のみ到着します。
越後湯沢方面の列車が到着。テレビクルーもカメラを回します。
越後湯沢駅で買っておいた、ひもを引っ張ると温まる駅弁。
越後湯沢駅を経て、六日町駅に到着。続きは以下の記事です。
【まとめ】豪雪の上越国境・土合駅へ……皆さあーん、新潟は半年も雪の孤島だ。
- 土合駅の地上ホーム … 上り線。清水トンネル南側。
- 土合駅の地下ホーム … 下り線。新清水トンネル内。
※『雪国』の国境のトンネルは、清水トンネル(開業時は上下線共用)。『雪国』を執筆したのは、高半ホテル。
土日なら、越後湯沢駅から現美新幹線の利用もおすすめです。