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塾講師アルバイトは人材の墓場 見落とされたデメリット

(^^)/「塾講師アルバイト」の実態とデメリットを僕の6年間のバイト経験から熱くお伝えするよ。というエントリーを読みました。塾業界に10年ほど在籍した経験から、僭越ながらいくつか補足させていただきます。

塾講師アルバイトのデメリット

・塾講師アルバイトの最大の欠点は「いい気になり使えない人材になる」こと。

・元記事のその他の項目の真偽は以下の通り。

【前提条件】基本的にブラック → 真実
【放任主義】実際の授業から学べ! → 塾による 
【サービス残業】出勤/ 予習/ 掃除 → 真実
【固定シフト】1ヶ月の旅行?ありえないよなァ? →真実
【悪しき習慣】報告書という名の紙/時間の無駄 → 塾による
【圧倒的責任】保護者が支払う金額はあなたの時給の2倍以上 → 真実だが利点も
【人間だもの】社員の好き/嫌いが反映されてしまう → 他業種も同じ

詳しい真実は記事内で補足します。

塾講師アルバイトは人材の墓場

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参照記事はバランスよく塾講師アルバイトの矛盾を突いていますが、ぜひ指摘してほしかった最大のデメリット「塾講師アルバイトは人材の墓場である」が捨象されています。

アルバイトの経験が貴重なのは、初めてビジネスの舞台で厳しい立場に立たされるからです。例えばコンビニでアルバイトを始めれば、全く知識がない状況でお客、先輩スタッフ、店長、本社スタッフの下で働くことになり、おのずとマナーや人間関係、該当業界のビジネスをゼロから謙虚に学ぶことになります。受験成功組も一度その実績をリセットされます。

一方塾講師のアルバイトは、勤務を始めればすぐに一国の主(あるじ)。上司の目が届かない教室やパーテーション内の空間のなか、知識がなく顧客としてうるさくない小中高生を相手に、過去に得た遺産(受験の知識)を垂れ流すだけで成立します。繰り返しますが、「過去の遺産」をもとに「弱い顧客」に施すお仕事です。コンビニのアルバイトが、慣れない環境で時間のないお客に対峙している意味と比べれば、違いは歴然です。

ぼくは、受験が終わったのにまだそこに関わっている自分が嫌いでやめた。塾講師の難しい面って、「全員自分より勉強ができない」環境だとおもう。周りが自分よりできないから、自分自身が成長する機会が少ないというか

出典:高野りょーすけさんのプロフィール - はてな

塾講師アルバイトが奏功する人材

一方塾講師のアルバイトが奏功する人材もいます。それはデフォルトで謙虚なタイプの学生です。このタイプの学生は、たとえ目が届かなくともも上司の指示をよく求めますし、子どもに対しても謙虚に振る舞う傾向があります。多少出発点の学力が劣っても、1年後に優れた講師に育つのはこのタイプです。

元記事の塾講師アルバイトへの指摘の真実

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基本的にブラック → 真実

塾業界はブラックというのは、真実です。実際に厚労省が2015年11月に発表した離職率ランキングからも明らかです(入社3年以内離職率)。

 1. 宿泊業・飲食サービス (52.3%)
 2. 教育・学習支援 (48.5%)
 3. 生活関連・娯楽 (48.6%)
 4. 小売業 (39.4%)
 5. 医療・福祉 (38.8%)
 6. 不動産・リース (38.2%)
 7. その他サービス (38.2%)
 8. 学術研究など (33.5%)
 9. 建設業 (29.2%)
 10. 卸売業 (28.9%)
 11. 情報通信 (24.8%)
 12. 運輸・郵便 (24.3%)
 13. 金融・保険 (20.9%)
 14. 複合サービス (19.5%)
 15. 製造業 (18.7%)

ワタミやすき家のイメージが強い「宿泊業・飲食サービス」と遜色(そんしょく)ないブラック度はまさに真打ちクラス。新たな社員の5割が3年以内に入れ替わる状況のなか、アルバイトだけホワイトな勤務環境を準備できるはずがありません。ハイレベルなクラスや生徒を担当した場合、給与対象外の予習が自宅等で課される点が象徴的です。

飲食サービスと比較してアルバイトからの苦情が目立たないのはなぜでしょうか?それは、塾講師アルバイトの学生が勤務条件より社会貢献度(やりがい)を重視する傾向があるからです。客観的に見ればかなりブラックな勤務環境でも、本人は「この程度は普通だ、やりがいもあるし」と思っていることがままあります。近年「やりがい搾取」と名づけられています。

【放任主義】実際の授業から学べ! → 塾による

塾の研修は放任主義なのかというと、これは塾によります。講師応募者に20コマ程度の授業見学(有給)を課し、模擬授業で再三落とし合格点が出るまで教壇に立たせない制度の塾もあります。録画研修を導入している塾も存在します。

【サービス残業】出勤/ 予習/ 掃除 → 真実

アルバイトなのにサービス残業という点は塾業界特有の悪癖です。どの塾にも共通するのは予習。建て前としては「予習や教室業務も含めてのコマ当たり給与」となり、アルバイトの時給相場よりはかなり高くなってはいます。しかし雇用側、被雇用側の認識のずれが大きいのも事実。今後は「授業時給」「教室業務時給」に分け、無給と見なされかねない時間帯をなくすことが重要です。自宅での予習については、時間を測ることが難しいため一律の手当とすることが望ましいです。

(例)集団授業を3コマ担当の場合

現行の給与形態 コマ給2000円×3=6000円(自宅での予習、授業前後の教室業務、生徒質問対応を含む)

望まれる給与形態 コマ給1500円×3 予習手当300円×3 教室業務時給907円×1 合計6207円

【固定シフト】1ヶ月の旅行?ありえないよなァ? →真実

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子どもの数が多く塾経営が今よりもおおらかだった時代には、毎回講師が変わる個別指導塾も存在していました。このシステムなら勤務の変更や急な欠勤に柔軟に対応できます。しかし近年は、講師が毎回変わるような塾は保護者の目が厳しく存続ができません。その代償として、アルバイトの学生は原則として1年単位で「ある曜日のある時間帯」を拘束される暗黙の前提が生まれています。

遊びや健康管理の手落ちが理由のケースは困りますが、短期間の旅行など大学生活の充実につながるものを犠牲にするいまの姿が健全だとは思えません。塾に子どもを預ける保護者の側も、大学生(院生)の講師は数か月に1回程度は休むものだという前提を持つべきでしょう。

※少し大局的に見ると、経済状況の悪化が学生にしわ寄せとなって及んでいるとも言えます。すき家の騒動もその典型的な例です。

【悪しき習慣】報告書という名の紙/時間の無駄 → 塾による

保護者の要求レベルが上がり、特に個別指導では詳細な報告書が求められます。ただし、パソコン画面のフォーマットに入力すれば良い塾もあるので、一概に紙や時間の無駄とは言えません。講師のアルバイトを希望する方は、面接の際に確認しておくと良い内容です。

【圧倒的責任】保護者が支払う金額はあなたの時給の2倍以上 → 真実だが利点も

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講師がアルバイトであろうと専任講師(社員講師)であろうと、保護者の期待は変わりません。確かに責任が重くストレスになるとは思います。しかし塾講師のアルバイトは肉体的な負担は非常に軽めです。また努力した分は就活で訴えることもできます。重圧に負けずに頑張ってほしいところです。

【人間だもの】社員の好き/嫌いが反映されてしまう → 他業種も同じ

アルバイトが正社員によって人間的な評価を受けるのはどの業種も同じです。平等性の高い大学入試から、実社会特有の恣意(しい)的な評価を受ける環境への急な変化は大変なものがありますが、社会の実像である以上慣れていくしかありません。

また社員は好き嫌いも入りますが一定の基準を以って人材評価をしています。世の習いとして、高く評価された人は正当な評価だと感じ、低く評価された人は好き嫌いに過ぎないと感じる傾向があります。やや飛躍するようですが「食べログ」のレビュアーは、8割がまともな人間で2割がいかれポンチか味オンチです。しかしまずい料理を出している店に言わせれば「8割がいかれポンチか味オンチだ!」となります。実社会は厳しい部分があり、評価基準がおかしいと思えたら負けという部分もなきにしもあらずです。

運悪くダメな上司に当たっても、アルバイトの側がその上司の良い点を探し肯定的に見ることで、逆に評価を取れるようになることも多々あります。評価というものは一方的に得るものではなく、何か互いに交換しているような不思議な側面があります。

(まとめ)塾講師アルバイトのデメリット

・いい気になると使えない人材に(過去遺産で弱い顧客と対峙していることを肝に銘じる)

・基本的にブラック

・不明瞭な給与体系(予習や教室業務の扱いにやりがい搾取)

・固定シフトが前提で、大学生活の多様性を欠くことがある(週3までが限度)

・責任が重くストレスになる(→就活で訴える要素にもなる)

なおメリットは「話が上手になる」ことに尽きます。確かに実業における大人相手のトークにすぐに応用することは困難ですが、分かりやすく丁寧に伝える力は間違いなくつきます。

(^^)/じゃーな

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