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じゃーな!

「別な人」が作る社会に引導を渡す

高知東生を早期撃墜した東急電鉄の慧眼(けいがん)

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元俳優の高知東生(のぼる)容疑者が覚せい剤取締法違反で逮捕された。高知東生は、もともと高知東急(のぼる)を名乗っていたが、東急電鉄に訴えられ改名した経歴がある。

高知東急事件芸名使用差止請求事件(口頭弁論終結の日 平成10年1月30日)

判決

主文
1.被告は、その芸能活動に、「高知東急」その他「東急」の文字を含む名称を使用してはならない
2.訴訟費用は被告の負担とする。

当事者の主張(一部抜粋。……部中略)

・「東急」の表示は、昭和17年……以来、原告及び東急グループを構成する各社の商号又は営業表示の要素として、また東急グループの営業表示として、半世紀以上にわたって使用されてきた。

・不正競争防止法2条1項1号の「混同」とは、主体と類似商品表示又は類似営業表示の使用者との間に、経済的若しくは組織的な何らかの密接なつながりがあるのではないかと誤信させること(広義の混同)をも含む。

 [判決の]理由(一部抜粋)

・被告が「高知東急」の芸名を使用して芸能活動を行うことは、……組織的な関係や、……経済的な関係など、何らかの密接な関係があるとの誤信を生じさせる蓋然性が高いというべきであり、したがって、混同のおそれがあるものと認められる。

高知東生は高知県出身で甲子園出場経験がある。いろいろあって1993年に28歳で俳優としてデビューした際に、年齢が高いため「急いで東に上れ」という思いを込めてつけられた芸名が高知東急である。人生の物語性を感じさせる良いネーミングであった。しかし、デビュー前に本名でビデオ出演がありさらに共演した女優と結婚・離婚という、イメージ的にはあまりよろしくない経歴があった。そのためか、デビュー後に東急電鉄に噛みつかれた(1998年に判決)。判決前の高知東急は、決して悪いイメージではない中堅俳優だったはずで、天下の東急電鉄が噛みついたのは大人げないという印象を持った記憶がある。そのまんま東急、東急チョイナチョイナ、ラッシャー東急みたいなふざけたネーミングならともかく、高知から東へ急げという至極まっとうな芸名に難くせをつけた裁判は、東急らしい品位を欠いた行為だと思っていた。

しかし結果は東急の慧眼(けいがん)であった。もし「法律上は問題かもしれないが、命名の背景から応援している。頑張って欲しい」というようなそれらしい余裕派的なスタンスに立ちご満悦だったら、いまごろは東急と覚せい剤取締法違反のイメージが結びついていてしまったはずだ。周知のように東急は駅舎、駅構内を始めあらゆる場所のデザイン性を高め、東急沿線の不動産価値を高める作戦を粘り強く実践してきた。東急のデザイン性にはいつも感心しているが、最近驚いたのは武蔵小杉駅。おしゃれな飲食店で見かけるようになったオサレライトがなんとホームにあった。このような1つ1つの努力が東急沿線のイメージと不動産価値を高めてきた(大阪では阪急電鉄)。だからこそ高知東急のちょっとしたいたずらを見逃さず、大人気なくも徹底的に叩いて根絶やしに潰し切ったのだ。一瞬の隙もなかった。イメージの重要性に最近気づいて、スカイツリー事業を進めたりダサダサの線名を「アーバンライン」に変えたりしている東武鉄道は、周回遅れどころの騒ぎではない。また東急のお手本があったにも関わらず、割に平凡なデザインを作ったTX(つくばエクプレス)は、なんと阿呆な戦略を取ってしまったことか。もったいないこと限りなし。そして東急はすごい(高知でない方)。

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東急武蔵小杉駅。JR武蔵小杉駅から乗り換えるとその落差におののく。

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