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文系の子に理系大学の受験を強要したひどい親の話

以前大学受験塾に勤務していたときのこと。6月に3者面談があるのだが、ある高3男子の家庭は都合がつかず、親子別々に面談をすることに。生徒のスペックは、高校も模試成績も総じて人並みで、国語が得意な男子。

文系の子に理系大学の受験を強要したひどい親の話

まず、授業の合間に、子と面談。彼、開口一番いわく、自分は文系だから理系の大学を受けますと←え 

よく聞くと家庭の方針で、苦手を克服するために進学をするのだから、文系が得意なら理系に進学するのが当然。親もそうしているとのこと(父親は文系だが理系に進学し、弁理士つまり特許等の専門家)。本人も幼い頃からそう聞かされて育っており、特に疑問は持っていない様子。驚きはしたが、正論なのでそのまま容認。

冷静に考えると「適性に合った進路を選ぶ」という全国の学校を支配している論理は、若干の誤りを内包すると言えるかもしれない。

人間、たいていのことは食わず嫌いだ。40代以降なら、適性重視で進路を選ぶべきだが、20歳前後なら脳の可動域は極大であり、新分野に舵を切ってもよいというのは納得できる。近年の高校や大学の進路指導は、自己理解から入り、適性に合った進路を選ぶという考え方が主流。しかし、あーた、この「自己理解から入り進路を決める」というスタイルは40代以降のオッサン向けのものじゃないですか! このおっさんスタイルを、10代に強要するとは、冷静に考えればありえない。ベテラン教員の、想像力の欠落。これから航海に出るコロンブスに、まず目的地を設定せよと言っているのと同じ。

文系の子に理系大学の受験を強要したひどい親が登場

次に日を改め父親と面談。

「あの子は文系ですから、理系の大学が良いと思って」と落ち着き払い当然のようにおっしゃる。東京理科大に入れたいが、ダメなら諏訪東京理科大(長野県)に行かせるとのこと。諏訪東京理科大は、入学時の偏差値は低いが教授が若く熱心で、学生を伸ばすので良いとのこと。

全国的なスタンダードからみれば、子に適性外の進路を強要するひどい教育方針の親となるだろうが、ある意味では筋が通っている。むしろ、いま躊躇(ちゅうちょ)してしまうことこそを、10代や20代はやるべきなのだ! その後塾を退職したため、この生徒がどうなったのかは分からない。理系の大学で頑張っているのだろう。いずれにせよ、10代や20代くらいなら、定まってもいない自分を理解するという「自己理解」なる自家撞着(じかどうちゃく)の作業をやめ、苦手なフィールドに自分をぶっこむのも良い。コロンブスに、目的地を問うような野暮なマネは、あまりよろしくない。

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