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「別な人」が作る社会に引導を渡す

プリンス マドンナ マイケルジャクソン

プリンスが亡くなり、改めて代表曲を聞いてみた方が多いと思う。このエントリーでは、プリンス・マドンナ・マイケルジャクソンが、なぜ歴史に名を残したのか、その一端に触れてみたい。

プリンス

米音楽史屈指の奇才と言われ、難解なイメージがある割に、案外popな曲調が多かった。歴代ヒット曲のなかでも、例えば、ベスト盤にも収録されたAlphabet St(アルファベットストリート)は、音楽マスコミに、売れ線狙いと皮肉られかねないほどpopで驚く。プリンスが優れているのは、誰も理解できない、常識を超えた曲を作り出す才能がありながら、世に出す作品は常に、常識の周縁部に抑えて込んできたことだ。だから売れ続けた。

同じころに売れていたリチャード・マークスは、米音楽業界の誰もが爆発的に売れると確信していた3枚目のアルバムRush Streetで大コケした。2番目にシングルカットしたHazardが主犯。この曲はある田舎町で、冤罪に巻き込まれた青年を描いた超意欲作だったが、曲調が地味すぎた。リチャードはこの手痛いミスで、スターダムから一気に転落した。

マイケル・ジャクソン

マイケル・ジャクソンも、非常識をpopに収める天才だ。代表曲に挙げられることはないものの、ベスト盤で3曲目に収録されたように、評価の高いSmooth Criminalは、中盤からAnnie are you Ok?(アニー、大丈夫かい?)をただただ連呼する独自の構成。耳が慣れた頃にメロディーを変え、サビに持っていく、ほかに例のない展開だ。曲の隠しテーマが児童虐待ではないかという意見もある。

この、歌詞・テーマとも規格外の作品に、マイケル・ジャクソンは極めてpopな楽曲をつけ、きわどく常識の周縁部に抑え込んでいる。このセンスは、プリンスと共通だ。

マドンナ

一方、健康マニアであり、期せずして? 最も長生きすることになった、マドンナは、規格外という意味での曲の破壊力は、少し劣る。全米を騒然とさせた楽曲のひとつに、Like a Prayerがある。MVで十字架を燃やしたことから、全米のキリスト教会から批判を受けた。歌詞・楽曲とも非常にノーマルな仕上がりであり、十字架を燃やすことで、常識を破る態度に出た訳だ。しかし、これはマドンナ自身のアイデンティティというより、プロデュースの一環という臭いが強く漂う。つまり、マドンナ本人は極めて常識的な人間であるのではないか? 

「私はずっと人気者であると同時に嫌われ者で、成功者であると同時に敗者で、愛されると同時に憎まれてきた。で、今になってわかるの。どちらにしろ、みんな意味の無いことだってね」 マドンナの名言である。特異な環境に置かれながら、何とか平静を保とうとしている、人間像が垣間見られる。

プリンス マドンナ マイケルジャクソン

プリンスやマイケル・ジャクソンは、その性(さが)に類まれなる猛獣を抱え込んでいたことが、死期を早めたような気がする。

マイケル・ジャクソンに次ぐプリンスの他界は非常に残念だが、芸術や文章を志す人間にとって、彼らの、常識の周縁部を正確に射抜く作品群はとても参考になる。常識的すぎては売れないし、非常識すぎても、誰も手に取らないからだ。

【参考】プリンスの代表曲

マイケル・ジャクソンやマドンナに比べ、日本ではややなじみがないプリンスについては、代表曲を挙げておく。

プリンスの代表曲 8選

プリンスが拠点としたアメリカのチャートの最高位を基準とし、その後の評価も加味。

  • "Purple Rain" 1984年(2位) … 代表曲。『パープル・レイン』サントラから。
  • "Kiss" 1986年(1位)  … 名声を決定づけた代表曲。『Parade』サントラ。
  • "U Got the Look" 1987年(2位) … 大作の『Sign "☮" the Times』から。
  • "Let's Go Crazy" 1984年(1位)  … 『パープル・レイン』サントラから。
  • "Batdance" 1989年(1位)  … 同名サントラ。勢いを復活させた代表曲。
  • "Sign 'O' the Times" 1987年(2位) … 大作の『Sign "☮" the Times』から。
  • "Cream" 1991年(1位) … 勢いがあった時期で、代表曲としては弱め。
  • "Raspberry Beret" 1985年(2位) … やや変化球で賛否が分かれた曲。

※あえて低迷期の曲を聴いてみたい場合、"The Most Beautiful Girl in the World" 1994年(2位)。

初めてのプリンス 5選

プリンスを初めて聴く場合には、以下の5曲がおすすめ。

  • "Kiss" 1986年 … 分かりやすく、プリンスらしさもある代表曲。
  • "Purple Rain" 1984年 … バラードの代表曲。分かりやすい曲調。
  • "Batdance" 1989年 … 長く残る名曲ではないが、キャッチーな代表曲。
  • "U Got the Look" 1987年 … ポップロック調の、分かりやすい代表曲。
  • "Alphabet St." 1988 … 非常にキャッチー。はじめてに方には特におすすめ。

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