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「別な人」が作る社会に引導を渡す

壊れかけの電通 新入社員自殺を防げなかった直属上司に問う

キャリアと生き方

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都市伝説? プレミアムフライデー導入企業って本当にあるの?

電通の女性新入社員が、仕事量の増加による残業で自殺に至ったとして、東京労働局三田労働基準監督署に労災認定されました。

入退館記録による残業時間は、月約130時間(2015年10月)。週休1日の勤務で計算すると、1日5時間25分になりますが、当然通勤中や自宅でも仕事に追われていたはずです。

(追記)どのような力学が働いたのか分かりませんが、自殺された方のツイッターアカウントが、8日の夕方に非公開になりました。本人が、言葉を選びながら、なんとか前向きに、状況をときには本音で、ときにはおもしろおかしく伝えていただけに、大きな損失です。このツイアカを見れば、本人にブラック耐性がかなりあり、人間的にもバランスが良いことが証明でき、企業側の責任がはっきりしただけに残念です。

(再追記)なぜか、8日夜に復活していました。

電通ネット担当新入社員のクリスマス自殺に思うこと

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写真:1週間前の電通本社。夜間、消灯している部署はまだわずか。

電通の勤務時間は17:30までです。1日5時間25分の残業を行うと、23時頃に終業となります。

ブラック企業では、私の経験から23時、24時の終業も当たり前ですが、次のような要素も考えなければなりません。

  1. 本当に月130時間(1日5時間25分)の残業で済んでいたのか?
  2. 通勤時間や自宅へ持ち帰った業務はないか。休日出勤の頻度はどうか。
  3. 仕事のスタイルはどうか(内勤か外回りかなど)
  4. 仕事の裁量権はどうか。
  5. 個人の体力はどうか。

①・② 本当に1日5時間25分水準の負担だったのか

本当に「毎日23時に会社を出る」と表現してよい水準の負担だったのでしょうか?亡くなった方はツイッターで「1日2時間睡眠が続いたこと」を訴えています。通勤時間を1時間として、毎日0時に帰宅する生活スタイルなら、2時間睡眠とはならないはずです。

※10月8日の夕方頃、ツイッターアカウントが非公開になりました。その後再公開されましたが、念のため、画像と文字をバックアップしておきます。

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今から帰るんですけど、うけません?— まつり (@matsuririri) 2015年12月17日

朝4時前に、会社を出ている日もあります。数字に現れない就業時間としての持ち帰りの仕事、過大なストレスがあったのではないかと思います。

企業では、何時間働こうと、基本的には成績や結果で評価されます(早期に売上ノルマをクリアしても、規定の時間は働かなければなりません)。それならば、企業も、労基法などに示された時間を守ることは当然として、社員が倒れたという結果にも全責任を持つべきしょう。社員に結果を求めるなら、会社も労務管理の結果が求められて当然です。

③ 仕事のスタイルはどうか(内勤か外回りかなど)

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企業では一般的に、営業(外回り)は長めの勤務時間、内勤は短めの勤務時間というバランスを取っています。 私の経験から外回りの営業は、長時間勤務でも意外に息抜きができるものです。

7時から23時の勤務の場合

  • 7:00 自宅をクルマで出発。朝早くて辛いです。と言いつつ、クルマを持ち帰る特権もあり、通勤ラッシュがない分楽。
  • 9:00 営業訪問を開始。ノルマ10社死にます。と言いつつ、得意先と話すのは、机に向かうより楽ですし、受付で会話して1社に数える裏技も、監視されていない以上使える。
  • 12:30 ファミレスで食事。書類書きながらです。と言いつつ、夜楽しようと思って、自分の裁量で仕事を片付けている。強制・監視の業務とは随分違う。
  • 16:00 いやあ、忙しいですわ。と言いつつ、コンビニの駐車場で仮眠。短時間ならスーパー銭湯も可能。ぷは~。
  • 17:00 会社へ向かう。運転楽しい。
  • 19:00~23:00 事務作業、企画書作成など。ここは疲れていてキツい。システム整えて自宅作業にしてほしい。

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ぶれない私はエブリデイ汐留— まつり (@matsuririri) 2015年12月12日

亡くなった方の勤務体系は分かりませんが、内勤メインで、常に上司に監視される環境で20時間も会社に居るのは、精神的な負担は極大です。

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1日20時間とか会社にいるともはや何のために生きてるのか分からなくなって笑けてくるな。— まつり (@matsuririri) 2015年12月17日

④ 仕事の裁量権はどうか。

裁量権が100%に近ければ近いほど、仕事は、長時間・激務であってもつらくないし、人は耐えうる。

(例)創業者や独立事業者は、体力が続く限り無限に仕事をすることがある。

この本質は非常に重要です。会社は労務管理をする上で、勤務時間だけでなく、その社員に会社がどの程度の裁量権を与えているかを正確につかまなければなりません。多数の選択肢から社員が選択肢たものかどうか、またそのプロセスがオルタナティブ(選択の多様性)かどうか。亡くなった方は、1年目のため、裁量権が低すぎて追い込まれていたのではないか。

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子どもが、毎日20時間、すぐそばで監視する他の人間のもとで、指示された作業を強要されれば、精神に異常をきたすはずです。

仮に異常を来さないとすれば、両者には愛情や信頼関係があるはずです。それが親子であり、その疑似態は教師と生徒です。しかし、企業の上司は、親とも教師とも認められないまま、

  • 部下のためではなく、自らの社内評価を動機に持ち
  • 自らの人事権(=部下を評価する権限)で強制的に部下を従わせることで

上司として、個人が人間として本来持つべき裁量権を奪っているのが実情です。電通の上司は、「部下のために」行動していたか、「人事権」でなく人格的威厳(尊敬の念)を原動力に、彼女を主体的に従わせていたかが問われます。

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いくら年功序列だ、役職についてるんだって言ってもさ、常識を外れたこと言ったらだめだよね。人を意味もなく傷つけるのはだめだよね。おじさんになっても気がつかないのは本当にだめだよね。だめなおじさんだらけ。— まつり (@matsuririri) 2015年11月2日— まつり (@matsuririri) 2015年11月2日

※言うまでもなく、電通だけの問題ではありません。

⑤ 個人の体力はどうか。

企業では、自己管理を名目に、健康や体力があることが大前提とされます。私自身があまり体力がない方だったのでよく分かりますが、会社では体力がある人間が、そうでない人がいることを理解しないまま、体力がある人間に有利な流れや言説を作ろうとする傾向があります。

※なお、個人の精神力(メンタル面の強さ)を考慮すべきという論を聞きますが、精神力を測定することが可能という前提に立ったものであり、別の問題が生じると思います。

労務管理を失敗した電通の上司に伝えたいこと

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直属の部下が死ねば、直属の上司に一義的責任があります。

  1. 亡くなった部下の残業時間を正確に把握していたかどうか。
  2. 亡くなった部下のや、自宅(社宅)や通勤中の勤務状況を把握していたかどうか。
  3. 仕事のスタイル(内勤か外回りかなど)を考慮した仕事量だったか。
  4. 新入社員であっても、仕事の裁量権を十分に与えていたかどうか。「人事権」でなく人格的威厳(尊敬の念)を原動力に、上司としてふるまっていたか。
  5. 部下の、個々の体力やメンタル面の特徴の把握に努めていたかどうか。

電通の直属の上司が、上記をよく把握していたかどうかが気になります。

もちろん、直属の上司に、部下に時間が避けるような勤務環境を電通が用意していたかも重要ですし、シンプルに労働時間の法規の遵守に努めていたかも重要なのは言うまでもありません。

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「この日は確実に帰りが遅くなりそうだからフルコースディナーはだめかもです」と言ってキャンセルしてもらったレストランがロオジエで泣いた。日々のご飯はだいたいセブンイレブンなので特に。— まつり (@matsuririri) 2015年11月23日

亡くなる前に、ロオジエ(銀座の全国有数のレストラン)に行かせたかったですね。

(追記)ツイッター画像保守

10月8日の夕方頃、ツイッターアカウントが突然非公開になりました。その後復活しましたが、念のため画像を保守してあります。

(補足)もう企業に厳しい勤務を課す資格はない

時代的にもう、企業に厳しい勤務を課す資格はない。これは私の持論です。

昭和期の大企業は、終身雇用を保証し、年齢分の給与を支払う体力がありました。30歳なら月給30万、40歳なら月給40万です。ボーナスは半年分程度。この待遇状況が背景にあったからこそ、多少法外な勤務体系も社会的に許されたものと考えます。

もちろん給与が高ければ法外な勤務体系が許されるとは言えず、電通はいまだ大企業ですが、ほとんどの会社は年齢分の給与を支払えなくなっているはずです。それに関わらず、法外な勤務体系を強いるのは論外です。

定年まで自分の時間を奪われ激務と競争に耐え、定年を迎えた後に積年のストレスから、例えば発がんするような不健康な社会を、力を合わせて改善していきましょう。

www.jarna.jp

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