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DeNA(資本主義)がGoogleを負かした? んな〜こた〜ないっ!!!

資本主義が検索エンジンを負かした。DeNAなどのまとめサイトに、Googleが負けたというエントリーが、良記事として話題になっています。

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DeNA(資本主義)がGoogleを負かした?

利益第一主義のDeNAが、Googleの検索順位決定ロジックの隙をつき、信頼性を潰してしまったという理屈は、一見正しいようですが、根本的に成り立っていないようにも感じます。

それは、Google決めたロジックは、「法律」ではないからです。Googleは、いつでも予告なく検索順位を決めるロジックを調整できます。意識されるべきは、なぜ調整しなかったのかであり、ロジックの隙をつかれたという問題ではないと考えます。

実際に、Googleは、これまでに矢継ぎ早にロジックのアップデートを実施してきました。数年前のSEO(検索エンジン最適化)技術は、全く役立たないと言われるほどです。ロジックは、頻繁に変えられます。焦点は、なぜ、Googleがまとめサイトの暗躍を承知しながら、対応しなかったのかです。どこにどのような制度的な限界や、思想があったのかを探ることが肝心です。

堕ちたNAVERまとめとトレンドサイト

Abandoned Bus in the woods

ロジック調整の具体例を挙げます。

数年前にはどのキーワードでも盤石の上位を誇ったNAVERまとめは、現在、以前より、かなり弱いドメイン(サイト)になっています。かつてならば、個人サイトがどれほど丁寧に内容の濃い記事を書いても、粗いまとめに上位を奪われていました。しかし現在は、キーワードにもよりますが、きちんとした内容の記事を継続的に書いていけば、NAVERまとめは、問題にならないというのが実感です。

またロジックの穴を埋めるために、「目視ペナルティ」を課すという手段をGoogleは持っています。卑近な例ですが「ドラマのネタバレ記事を集めたサイト」は、Googleに、頻繁にペナルティを受けています。私はかつて、別サイトで書籍『下町ロケット』の書評をコツコツ書いてました。もちろんドラマ化されることで、アクセスを集めたい下心はありましたが、純粋な書評でした。しかし、Googleの目視チェックにより「(他のサイトと酷似した)実質のないコンテンツ」と見なされ、検索順位マイナス50のペナルティを受けてしまいました。検索結果の6ページ目ぐらいに飛ばされましたので、アクセスはほぼゼロになりました。

このようにGoogleは、スタッフの目視による順位の調整という手段までも持っています。仮に、まとめサイトにロジックの隙を突かれたとしても、目視による調整という手段もありました。なぜ悪目立ちしていたDeNA系のサイト(ドメイン)を目視して、順位の調整を行わなかったのでしょうか?

※私見ですが、実際には目視のみではなく、自動検出を併用していると思います。

Googleのロジックは法規ではない

Googleは、100%機械的に検索順位を決めているわけではありません。DeNAなどのまとめサイトに、Googleが負けたという理屈に、無理があることがお分かりいただけると思います。

Googleは「法」を自己裁量で制定し、いつでも変えることができます。さらに、「法」がカバーできない領域に関して、裁量権も持っています。社会科学の言葉で言えば、国会の権力と内閣(行政)の権限を兼ね備えているどころか、「元首」に近い権力を持っています。焦点は、なぜGoogleが見過ごしたのかです。

※Googleは、よりよい検索結果(ユーザー体験)を提供し、検索結果を金で売り渡さない、ユーザーファーストの理念を持っています。また、悪事を働かない(Don't be evil)の理念も持ち、「憲法」にあたる部分は非常に優れています。Googleの事業を評価しないという趣旨ではなく、企業としての信頼度は、屈指のものがあると考えます。

Googleは、なぜ見過ごしたのか?

Peace

Googleは、なぜ見過ごしたのか?

この答えを突き止めるのは、非常に難しいですが、1つめに日本のGoogleサーチクオリティチームの置かれたポジション、2つめにGoogleが巨大企業とどのような関係にあるのか、3つめに「B層」的なユーザーの存在がヒントになると思います。

1つめに、Google Japanのサーチクオリティチームが、どの程度の権限を持っているかです。サーチクオリティチームの動き方や、日本の検索順位決定に関する記事を検索しても、出てくるのは、海外の情報ばかりです。しかしながら、日本語は、Googleにも解析が難しい、特殊な言語です。Googleは、英語をはじめとしたゲルマン語や、ラテン語系の言語ほど、日本語を解析できていないはずで、日本のサーチクオリティチームの動向こそが重要です。

検索順位の決定ロジックは、米Googleにとって秘中の秘です。日本のサーチクオリティチームにどの程度の知らされているのか、また日本のスタッフが体感としてつかんだ問題点が、日本向けのロジックにどの程度反映されるのかは、闇の中です。もし、日本のスタッフが、まとめサイトに嫌疑を抱いていても、派遣されてきたボスや、海の向こうのボスがどうジャッジするかが、問題なのかも知れません。Googleの世界戦略の中で、人口が限られ、スパムが激しくないJapanは、最優先の位置を占めるわけではないでしょう。その辺りの力学が、日本国内のGoogleの検索結果にどう反映しているかに、私は興味があります。

2つめにGoogleが、権力を振りかざす巨大企業と、どのような関係にあるのかです。Googleは、過去に大企業が検索結果に対して行った不正に、非常に厳しく対応してきました。過去には、BBC(英国営放送)、BMW社の公式サイトが制裁を受けたなど、多くの事例があります。基本的には、私はGoogleを全面的に信頼していますが、Googleが判断を曲げざるを得なかったような、プレッシャーが存在しなかったかどうかは、念のために懸念する必要があります。実質のないコンテンツの代表格とも言えるNAVERまとめの順位が、なかなか落ちないことについて、Googleが企業からプレッシャーを受けているのではないか、という説が過去にありました。

最近になり、NAVERまとめの検索結果順位が目に見えて下降しているため、それは邪推に過ぎなかったと言えますが、ネットユーザーやライターは、Googleの「ユーザーファースト」の理念を当たり前のこととして享受するだけでなく、常に支えていこうという気持ちを持たなければならないと思います。

ブログにGoogleの広告(アドセンス)を掲示している人が多くいますが、この利益分配率は51%にもなります。Google アドセンスチームのスタッフに質問をすると、条件によっては返答が帰ってきますが、夜遅い時間が目立ちます。決して楽ではないし、楽もしていないのです。日本のネット広告を独占(寡占)したいま、利益分配率を調整すれば、いかようにも楽ができると思いますが、分配率はずっと51%です。自社の都合で、販売者への分配率を再三変更してきた、どこかの会社さんとは大きな違いです。

I ought to start listening to those little voices that tell me to go to bed and stop playing with Photoshop once the muse has left for greener pastures

3つめに「B層」的なユーザーの存在です。私が、低品質なまとめサイトを重宝がる「B層」の存在に初めて気づいたのは、電車内で偶然聞いた次の会話からです。

以前、電車内で聞いた、旅行中の大学生の会話に驚きを禁じえなかったことがある。
「ねえ、次どこ行こうか」
「ネットで、調べてみて。のってるかなあ」
「あった!ネバーまとめ、何でもまとめちゃうな」
「さすがネバーまとめ。あ、ここいいって書いてあるよ」
「よさそーだねー」
出典:これからも低品質コンテンツをよろしくね! - じゃーな!

忘れもしない、上りの東海道線の車内でのことです。数回しかない、大切な学生旅行に、揃いも揃って、行ったことのない人がまとめたサイトを使う大学生たち。揃いも揃ってサイト名すら分かっていない。結論は「よさそーだねー」

ああ、こいつらだと分かりました。このように、ネットリテラシーが低いB層が、相当数、存在しているのです。Googleは、検索結果のロジックに「パーソナライズドモデル」を導入しています。望む検索結果は、みな同じではないということです。

Googleの検索結果は、一見、推奨度順にランキングされているように見えます。しかし、実際には、様々なユーザーが納得できるよう、ある程度バラエティに富む答えを返しています。すると、まとめサイトを、文字数が少なく読みやすいと感じる層が存在する限り、1つか2つ程度のまとめサイトを、1ページ目に掲載することは、理にかなったこととも言えます。ここでも、Googleのロジックが破られたと言えないことが分かります。穴は初めから空いていたのです。

問題は、特に目立つ1位にDeNAの低品質サイトが表示されたことでしょう。1位は常に目立ち、力が伴わなければ、人を失望させるポジションです。

※B層とは、小泉政権を支持した軽やかで無知な大衆を指しますが、ここでは広義で使っています。

DeNA(資本主義)がGoogleを負かした? んな〜こた〜ないっ!!!

引用した元記事は優れた内容を多く含みます。しかし、資本主義(DeNAなど)に、Googleが負けたという部分に、私は賛同しかねます。

今回の騒動で、最も信頼を喪失したのはDeNAでした(正確には、ゲームの課金問題で初めから薄かった信頼がマイナスになったと言えます)。一方で、Googleも、少なからず信頼残高を減らす結果になったと思います。

Google Japanが、なぜ炎上騒ぎになる前に、ロジックの調整、目視ペナルティといった手を打たなかった(打てなかった)のかが、この問題の検索エンジン側の焦点になります。

Googleは資本主義に負けたどころか、革命家に近い

Industrial revolution

資本主義の総本山であり、もし独占資本主義が崩壊するとしても、一番最後にそれが起こるだろう。以前から言われている、アメリカ合衆国への評価です。そのアメリカの大地に、もっとも資本主義的な価値観に汚染されていない、Googleが生まれたことは、まさに奇跡と言えます。

インターネットが普及する前の資本主義体制では、個人は企業に所属し、大メディアの言論や広告に晒されるしか、選択肢がありませんでした。大手企業が、わずかしかないテレビ局や新聞社を支配し、芸能人や評論家を通じ、都合の良い情報を流すことができました。そして、いざ起業しようとしても、土地、工場、事務所、店舗には、膨大な初期費用と維持費がかかります。個人は企業に労働時間を切り売りするしかなかったのです。

しかし、インターネットの普及で、潮目は完全に変わりました。インターネットを利用した独立事業者が増え、副業を始める会社員も激増しました。また、「日本死ね」のように、個人の意見も発しやすくなりました。

Gonzalez's Family Photoshoot

これは、簡単に言えば、大企業が独占していた生産手段やメディアを、個人が得たことになります。その最大の貢献者が、Googleです。

簡単な理屈です。もし、yahoo!が日本の検索エンジンを支配していたら、どのようなことが起きたでしょうか? 現在、yahoo!ニュースには、(優れた記事も多くありますが)大手メディアによる、短く内容の薄い記事が掲載されることがあります。この記事は、yahoo!のドメインの力で、凄まじいアクセス数を得ます。具体的なニュース社を挙げることは避けますが、4文字のニュース社が配信する、取材を伴わない短いまとめ的な記事がアクセスを荒稼ぎすること対して、同じテーマをしっかりと書いた個人サイトのオーナーさんは、非常に悔しい思いをしていると思います。これは、まさに資本主義的な力の働き方です。個人では、いかなる品質を用意しても、yahoo!と組んだ大手企業に対抗できないのです。

しかし、Googleは違います。きちんと取材した分量の多い記事を書き、アクセスした人が最後まで読んでくれれば、検索順位はどんどん上がります。確かにDeNA系など、攻めにくいサイト(ドメイン)もありますが、多くのジャンルで、個人がしっかり書いた記事が、大手企業を打ち負かす事例が多数あります。

ここに資本主義は、崩壊しているのです。

哲学者のカール・マルクスは、人間は本来、仕事が好きで好きで仕方がない存在ではないかと、素朴な提言をしています。確かに、積み木遊びやお絵かきを始めた子どもは、日が落ち夕食の時間になっても、それを止めようとはしません。その理由は簡単です。生産手段が所有されており、生産の全過程と成果を全て目にすることができ、全て自分のものにできるからです。

RPGゲームやシュミレーションゲームが、根強い人気を得るのは、このことに根源があります。ゲームの中では、私たちは、すべてを所有し、すべてを判断し、すべてを自分の成果とすることができます。ゲームは、資本主義社会のなかで抑制された、人間本来の欲望を解き放つアジールだと言えます。

そして、Googleは、ゲームの世界にだけ存在した、自由にモノを生み出し、自由に成果を受け取ることができる世界を、現実のものとしています。Googleが、金で動き、大企業にだけ生産手段を分配することがないからです。

私は、資本主義がGoogleを負かしたという意見に強く異議を唱えます。Googleが資本主義を負かしたのです。

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